日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 毒を喰らわば皿まで /十河 』 アンダルシュノベルズ

【あらすじ】
竜の恩恵を受けるパルセミス王国。
その国の悪の宰相アンドリムは、娘が王太子に婚約破棄されたことで前世を思い出す。
同時に、ここが前世で流行していた乙女ゲームの世界であること、娘は最後に王太子に処刑される悪役令嬢で自分は彼女と共に身を滅ぼされる運命にあることに気が付いた。
そんなことは許せないと、アンドリムは姦計をめぐらせ王太子側の人間であるゲームの攻略対象達を陥れていく。
ついには、ライバルでもあった清廉な騎士団長を自身の魅力で籠絡し――
アルファポリス第7回小説大賞、読者賞受賞作品。



【感想】
騎士団長×悪徳宰相。

娘が王太子に断罪される場面で、自分が乙女ゲームの悪役令嬢の父に転生したと気づいた受。
幼き頃からの婚約者を竜の贄とし、その父の失脚をも狙う王太子らに、彼は娘の屈辱を晴らし復讐すると誓うが……。

シリーズ1作目。
面白かった!
受が王太子sideの人間を1人ずつ絡めとり籠絡していく様が実に見事で、彼が悪だと分かっていても目が離せない。
清廉潔白、質実剛健な攻を受が堕としていくのも、悪事の中に僅かな善き真実(に見えるもの)を混ぜることで全体図を書き換えてしまう手腕も、見ていてゾクゾクした。
悪の華に魅せられ堕ちたことで深みが出て、より魅力的になった攻も素敵。

ゲームヒロインの身内がかなり酷い目にあっていたり、グロい場面なんかもあるので好き嫌いは分かれるかもしれないけど、それらも含めて読み終えた時に満足感を感じたのは、私も共犯者気分で読んでいたからかもしれない。
受と攻だけでなく、他のCPの純愛や執愛もそれぞれ良くて、復讐ものとしても恋愛ものとしても楽しむことが出来た。

攻と受の最期は……まさかそんな順番になるとは思わなくて驚いたが、自由に駆ける遠い未来が待っていると思えば寂しさも少し薄まる気がする。
攻ならそのうち、根性で雄で初の獣人化するかもしれないね(笑)。

特典カードのSSは、受が攻に手作り菓子を振る舞う話。