日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 箱庭ろまんす / 間之あまの 』 ルチル文庫

【あらすじ】
親を亡くし、途方に暮れていた玉緒は、浮世離れした作家・秋月壮慈に救われて、美しい庭のあるお屋敷で彼の飼い猫のように可愛がられながら成長する。
壮慈への敬慕の念はいつしか恋情に変わるが、人にも物にも執着がないという壮慈には恋情がわからず、玉緒への態度も変わらない。
それでも幸せな玉緒だが、募る想いからある“お願い”をして―。



【感想】
幻想怪奇小説家×不思議な色香を湛えた少年。

作家さん買い。
いつもの明るく甘々な現代ものではなく、閉ざされた箱庭の中で育まれる愛を描いた時代もの。
(東京専門学校が早稲田大学になる数年前だから、大正時代?)

いつもの間之さん作品のつもりで読み始めたので、慣れるまで少々時間がかかった。
現侯爵の弟で人にも物にも執着しない攻が、川原で幼い受を拾い大事に大事に囲って愛でる様子が好き。
でも、(攻兄の心配は分からなくもないが)キヌさんや綾部の善意の押し付けは好きになれなかった。
勝手に絵を紛れ込ませたり綾部に受を託したキヌさんにも、受を押し倒して物のように扱おうとした綾部にも、何のペナルティもないんだもんなぁ……。
まぁ、そんな彼らの行動も攻は折り込み済みだったのかもしれないけど。。。

ごめんね、また買い忘れてしまったよ、とゆるりと微笑み、履き物がない受を何年も抱っこして運んでいた攻がいいよな~。
今回は受が勇気を出して一歩踏み出したから丸く収まったが、個人的には最初のあまり健全ではない仄暗い幸せに浸る2人の関係のままでも、本人たちが幸せならそれはそれでかまわないと思う。
すべてが終わった後、“”履き物“を手にした受が外の世界へ出ていくのではなく、攻の側こそが自分の世界の全てだと迷わず箱庭に戻ったのが良かった。
受は一生、大好きな人に優しく守られて笑顔で暮らして欲しいわ。