日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 遠い国の小さな花嫁 / あべちか 』 Ruby collection

【あらすじ】
雪深い町に、遠い国から男の花嫁がきた。
たった一人で嫁いで来たサガルは、妻に先立たれ幼い息子を持つローランの妻になった。
貿易商の仕事で一年で冬の間しか町にいない彼の代わりに息子の子育てを担う一方で、寡黙だが優しいローランと穏やかで温かい夫婦の絆を紡いでいくサガル。
しかし彼には、夫には秘密にしている別の姿があった。
平和な幸せを壊したくないサガルだが、その素性を追う者たちが次々と町に現れ―。
小さな花嫁に隠された、想像もつかない過去。
WEB発ファンタジーBLの傑作!


遠い国の小さな花嫁 (Ruby collection)

遠い国の小さな花嫁 (Ruby collection)


【感想】
幼い息子の世話係として新たな妻を迎え入れた貿易商×遠い遠い国から嫁いできた、秘密を抱えた小さな花嫁。

1年の大半を王都で過ごす攻と、攻が帰る冬を心待ちにしながら離れた地で暮らす攻の息子と受。
僅か数ヶ月の交流の中で、次第に心を通わせあう2人だったが、受を追い命を狙う者たちが現れ……。

表紙買い。
しかし、攻は冬以外家に帰らないので、この表紙は最後の短編で語った受の望みであり彼の見た夢なのかもしれない。

表紙のイメージから、優しくて甘い話を期待して読み始めたのだが、かなりビターでハードな話だった。
受が生れた国のシステムも許しがたいし、攻の暮らす国の絶対的な身分制度にも理不尽さを感じるしで、ストレスが半端ない。
向こうは姫様が、こちらはレディが国を善き方向に導いてくれればと願う。

攻はその体格差から、生涯受を抱くことはないと言っていたが、それでも受は攻と冬を過ごし、その間たくさん愛されて思い出をつくり、また冬を待ちながら息子と共に日々を過ごすだけで幸せなのだろう。
まぁ私だったら、冬しか会えないなんて耐えられないけど……。

身分を手に入れても王都で共に暮らせない現状がいつか変わって、毎日同じ家で起き、同じ家で眠る生活が当たり前になる。
そんな未来と、受が攻の元で生涯を過ごし、攻の元でその生涯を閉じる日が来て欲しいと思った。