日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~ / 中村颯希 』 一迅社ノベルス

【あらすじ】
『雛宮』――それは次代の妃を育成するため、五つの名家から姫君を集めた宮。
次期皇后と呼び声も高く、蝶々のように美しい虚弱な雛女、玲琳は、それを妬んだ雛女、慧月に精神と身体を入れ替えられてしまう!
突如、周囲から忌み嫌われ、鼠姫と呼ばれるそばかすだらけの慧月の姿になってしまった玲琳。
誰も信じてくれず、今まで優しくしてくれていた人達からは蔑まれ、劣悪な環境におかれるのだが……。
「息切れしない、失神もしない……。なんて健康な体でしょう! う、うらやましい……っ」
誰もが羨む玲琳は、隣り合わせの"死"とずっと戦ってきた鋼メンタルの持ち主だったーー!?



【感想】
病弱ながら『殿下の胡蝶』と呼ばれ皇太子の寵愛を一身に受ける玲琳は、それを妬む慧月に魂と身体を入れ替えられてしまう。
性根の腐った『雛宮のどぶネズミ』だと周囲から蔑まれ、悲しみに打ち震える…かと思われた玲琳だが、実際は健康な肉体と自由に過ごせる環境を手に入れ歓喜していて……。

コミカライズ版が面白かったので、原作を購入。
こちらも面白かった。
見かけはおっとりと優しげで儚い印象の玲琳が、その実「筋肉。それこそは力」な熱血さんだなんて誰も思わないよね。
何をやらせても完璧で皆から愛される玲琳と入れわ替り、これからは私の天下よ!と思ってたのに、玲琳の身体のあまりの病弱さに死にかけてる慧月が哀れというか、ざまぁというか。
……でも、玲琳の身体が死んじゃうと彼女が戻れなくなるから、それは困る…のかな?
個人的には、戻ってままならぬ身体に戻るより、慧月の身体で健康を満喫して欲しいと思っちゃうんだけどね~。

どんな嫌がらせを受けてもポジティブ思考で喜んじゃう玲琳が、この先何を目指すのか楽しみ。
無数の針が突き刺さった呪い人形を、刺繍用の針山に転用してるとことか好きよ。
いまは捻くれまくってる慧月が、玲琳の隠れた努力を知って改心してくれればな……とひっそりと思いつつ、これから2巻に突入。
金家の謎の女官って誰なんだろ。
お隣の宮は藍家だけど、貴妃様も怪しいなぁ…。

書泉・芳林堂の購入特典SSペーパーは、朱駒宮の“蔵”でのささやかなお菓子の話。
……まさか、こおろぎさんのお味がここで生きてくるとは…。