『 今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私 / 成田名璃子 』 メディアワークス文庫

【あらすじ】
突然終わった結婚生活。
バツイチか―と嘆く余裕もない私。
職務経験もろくにないが、家事だけは好きだった。
そんな私に住み込み家政婦の仕事が舞い込む。
相手は高名な小説家。
そして整った顔立ちとは裏腹に、ものすごく気難しい人だった。
行き場のない私と、ふれ合いを拒む小説家。
最初はぎこちなかった関係も、家事が魔法のように変えていく。
彼と心を通わせて行くうちに、いつしか―。
なにげない毎日が奇跡になる物語―本を閉じた後、爽やかな風を感じてください。
不器用で優しい人々が織りなす再生の物語。

今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私 (メディアワークス文庫)

【感想】
夫の浮気が原因で離婚し、娘を連れ実家へ戻った元専業主婦の主人公。
何の職務経験もなく、兄夫婦の住む実家にも居場所がないと焦りを感じていたある日、近所に住む小説家の家で家政婦として働くことになり……。

いやー、元旦那がクズだな！
お家を綺麗に保ち、着るものを整え、美味しいご飯で出迎えてくれる奥さんを馬鹿にしまくるこのクズ男……。
きっと会社でも散々奥さんを扱き下ろしてて、やっと離婚出来たわ～とか言ってそうだけど、案外周りの女性陣は見ているものよ。
よれていくワイシャツやネクタイ、コンビニ弁当や外食が増え、脂ぎっていくオデコのテカり。。。

“家事しか出来ない”と卑屈になる主人公に、“家事のプロ”として自信を持てと励ましてくれた周囲の人々が本当にいい人たちだった。
家族を喪くして書けなくなった小説家と、自信を失くし自分の存在意義を見失ったシングルマザー。
家事や日々の生活を通して少しずつ前に進んでいく2人の姿が丁寧に描かれていて、彼らの再生を見守る気持ちで読み進めていた。

このお話の功労者は娘の美空ちゃんだと思うんだけど、猫のコヨーテや編集の川谷さんなど、その他の面々あっての今だし、これから先も彼らと一緒に支え合いながら何気ない毎日を楽しんでいって欲しいな、と思う。
………川谷さん、前途多難ぽいけど新しい恋も頑張ってね！(笑)