日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 護られなかった者たちへ / 中山七里 』 宝島社文庫

【あらすじ】
誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。
怨恨が理由とは考えにくく、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
しかし事件の数日前に、一人の模範囚が出所しており、男は過去に起きたある出来事の関係者を追っているらしい。
そして第二の被害者が発見され――。
社会福祉と人々の正義が交差したときに、あなたの脳裏に浮かぶ人物は誰か。



【感想】
誰に聞いても善人、お人好し、聖人、真面目……と悪く言う者がいない。
そんな人物の変死体が発見された。
被害者を拘束し放置→餓死させるという異様な手口から警察は怨恨を疑うが、何の手がかりもつかめないまま2件目の事件が起き……。

書店の映像化コーナーで見かけ、これと『キャラクター』とどちらにするか迷ってこちらを購入。
震災から4年後の仙台市が舞台。
ちなみにこの頃、消費税はまだ8%。

タイトルと殺害方法(餓死)、生活保護というキーワードで話の流れは早々に見えるが、生活保護や福祉について色々と考えさせられた。
お役所の方針を変えて、保護を必要とする人すべてを救うには財源の問題があって、そのためには経済や少子化等々の問題をどうにかしないとお金が無くて……。
刑務所内や反省しない収監者の話を読んでいて、この人らが刑務所で衣食住を与えられているそのお金で、いったい何人の人が救えるだろうか…と考えてしまったよ。

未払いでもなかなか止めないとされる水道すら止まり、ティッシュを食べながら餓死していった“あの人”の最期の姿や、【息子】たちに遺した言葉を思うと哀しくなる。
映画版は小説と違う部分もあるようなので、どう変わっているのか気になる。


 ↓ サイン本でした ↓
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