日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 老舗にもいろいろありまして / 花川戸菖蒲 』 シャレード文庫

【あらすじ】
春告の実家「染谷」は江戸小紋の老舗の染元ながら家族経営の零細企業。
そんな染谷に大口注文を持ちかけてきたのは室町時代創業の和菓子の名店「九露澤」。
だが両者には江戸時代からの因縁が。
家業の存続かプライドか―春告は専務の黒澤の提案に従い愛人契約を受けることに。
厳格な経営者の反面、私生活では失恋続きのヘタレゲイ・黒澤と、生粋の江戸っ子・春告。
黒澤の一目惚れから始まった老舗版ロミジュリはハッピーエンドとなるや否や!?


老舗にもいろいろありまして (二見書房 シャレード文庫)

老舗にもいろいろありまして (二見書房 シャレード文庫)


【感想】
室町時代創業の老舗和菓子店「九露澤」の長男×江戸小紋の老舗染元「染谷」の長男。

江戸時代からの因縁で、九露澤を怨敵と呼ぶ受の父親(親方)。
三百年ぽっちで水に流せるもんか!という、そのスケール感がすごい。
結局、九露澤のご先祖はなんであんなことしたんだろうね。
そこが知りたかったなぁ。

攻と受、どちらも長男だけど、どちらも事情があって跡取りにはなれない同士。
それもあってか、男同士という面での葛藤は薄かったように思う。
そもそも攻は元からゲイだし。
ただ、受が自分からグイグイ行くほど攻を好きになった過程がちょっと分かりにくかった。
絆されたってことでいいんだろうか。
攻は攻で、ヘタレなスパダリ風に描かれているが、型紙を手に入れるためにしたことを思うとあまり好きになれない。
見習い職人を含め、何人の人生を変えちゃったんだろうか……。

結局、攻の家族内での立ち位置は1mmも変わってないし、思わせ振りに書かれていた高級ゲイクラブの『悠里さん』(セフレかは不明)は受に誤解させるスパイスにもならず、登場すらせずに終わったしで、なんとなくすっきりしないまま読了してしまった。