日々感想。

映画・海外ドラマ・本などの感想(たまにネタばれ有)を綴っています。    ミステリ・ラノベ・BL・TL等ごちゃ混ぜなので、苦手な方はご注意ください。

『 一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。 / 冬野夜空 』 スターツ出版文庫

【あらすじ】
「君を、私の専属カメラマンに任命します!」
クラスの人気者・香織の一言で、輝彦の穏やかな日常は終わりを告げた。
突如始まった撮影生活は、自由奔放な香織に振り回されっぱなし。
しかしある時、彼女が明るい笑顔の裏で、重い病と闘っていると知り…。
「僕は、本当の君を撮りたい」
輝彦はある決意を胸に、香織を撮り続ける―。
苦しくて、切なくて、でも人生で一番輝いていた2カ月間。
2人の想いが胸を締め付ける、究極の純愛ストーリー!



【感想】
クラスで人気者の女子から突如専属カメラマンに任命された、目立たず静かに暮らしたい男子高校生。
自由奔放な彼女に振り回される日々の中で、彼女が病に侵されていることを知り……。

最初から終着点が見えていて、そこに向かって日々を重ねていく2人の毎日が、楽しそうなんだけど読んでいて辛かった。
すぐに茶化そうとする彼女の言動も、その本心を知ると切なくなる。

個人的には、主人公が決意した217ページ目ラストの一言がとても印象に残った。
私も“自分らしい”人生最期を飾る写真を誰かに撮って貰いたいなぁ……。

ただ納得がいかなかったのは、彼があのあとカメラを辞めてしまったこと。
亡き父親のように死を迎える人々の笑顔を撮る必要はないけれど、彼女に見せたい風景を撮り続けて欲しかった……。
本物のウユニ湖に映る満天の星空、オーロラと星々の競演、大流星群、澄み渡る夜空で輝く天の川と2つの星……。
10年後か20年後か、また彼がカメラを手に取り織姫のために写真を撮ってくれたらいいな、と思う。