『 愛がしたたる一皿を / Si 』 ショコラ文庫
【あらすじ】
フレンチシェフの水崎には、十代の頃、母が殺人鬼に食われたという凄惨な過去があり、そのせいで人との接触が苦手だ。
ある日、水崎は新規の客に自分の血が入ったソースを出すという最悪の失敗を犯す。
だがその客、フードライターの桐谷は料理を大絶賛した。
優雅だが強引に距離を詰めてくる桐谷を、苦手にも好ましくも感じる水崎だったが、彼が例のソースの「隠し味」――水崎の血の味に魅せられていることを知り…。
- 作者: Si,葛西リカコ
- 出版社/メーカー: 心交社
- 発売日: 2019/01/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
【感想】
料理(の隠し味)に魅了されたフードライター×トラウマを抱えるフレンチシェフ。
手違いで出してしまった受の血が混じった料理を絶賛し、以来店に通いつめる攻。
受が母親を殺され食べられたという過去を持つだけに、最初は攻を警戒しながら読んでしまった。
が、病んでいるのは受の方だったね。
まぁ、過去を考えると仕方ないのかもしれないけど。
攻が意外と常識人でマメで優しくて、彼の包容力のおかげで受もこれから立ち直っていくんだろうな……と思ったところでのあのラストに、いけないモノを見てしまったような気分になった。
母親を殺して食べた犯人が捕まり、優しく癒してくれる恋人がいるのに、どこかしら病んだ気配が漂う作品だった。
これで捜査が進んで、実は秋場さんが美食クラブのメンバーで、ビストロ・ピジョノーは彼にとっての子鳩(=受)養殖農場でした………とかだったら超怖い。
普通の優しい金持ちなお爺ちゃんであって欲しい。
あと、このテディベアには盗聴器が仕掛けられてるに違いない!!とか疑ってごめんよ、攻。。。